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2023-03

"のまネコ"はどこに行く?

エイベックスの"のまネコ"騒動ですが、まだまだ沈静化にはほど遠いようです。

のまネコとはエイベックスが発売している「恋のマイアヒ」に使用されているキャラクターのことです。原曲はO-ZoneのDragostea Din Teiですが、2ちゃんねる等で使われているAA(アスキーアート)の"モナー"似のキャラクターが登場する日本語化されたFlashムービーが作成され、一躍話題になりました。ファンの間ではモナーに似ていることは好意的に受け入れられてきましたが、エイベックスがのまネコを商標登録しようとすると今度は一転して反発しているのが実情のようです。
2ちゃんねるのキャラクターに絡む出来事と言えば、過去にタカラが"ギコ猫"の商標登録を出願しましたが、やはりユーザーの反発を受けて出願を取り下げたことがあります。エイベックスはタカラの事例を知らなかったのでしょうか?

法的な話は実際に裁判にならないと分からないとしか言いようがありませんが、モナーは著作権者不明の共有財産と言えるものでしょう。日本の著作権法上では著作権者のいない著作物は存在しない、つまり著作権を放棄することはできないのです。エイベックスは著作権者を見つけ出し、著作者人格権の行使の許諾を得るのが筋になる筈です。

反発を受けてエイベックスが出したコメントは以下のものです。

「のまネコ」は、「のまネコ」の著作を管理する有限会社ゼンとエイベックスネットワーク株式会社が商品化契約を締結しております。
「のまネコ」は、インターネット掲示板において親しまれてきた「モナー」等のアスキーアートにインスパイヤされて映像化され、当社とエイベックスネットワーク株式会社が今回の商品化にあたって新たなオリジナリティを加えてキャラクター化したものですが、皆様において「モナー」等の既存のアスキーアート・キャラクターを使用されることを何ら制限するものではございません。
何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

インスパイヤなどと言ういい加減な言葉を使うべきではないのですが。要はのまネコはモナーのパクリであると自ら認めている訳で、のまネコはエイベックス(とゼン)の著作物ではないことになります。エイベックスがのまネコについて著作者人格権を行使することは不可能であると思われます。

では、商標登録はどうでしょうか。恐らく商標登録は可能であると思われます。のまネコが商標法に抵触するとすれば、第4条にある登録商標を受けることができない商標に

需要者の間に広く認識されている他人の未登録商標と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品(役務)について使用をするもの(第10号)
「需要者の間に広く認識されている」には、最終消費者まで広く認識 されているものだけでなく、取引者の間に広く認識されているものも含まれ、また、全国的に認識されているものだけでなく、ある一地方で広く認識されているものも含まれます。

がありますが、モナーが未登録商標であるかどうかは難しい判断ですし、モナーは主にネット上で使用されるキャラクターですからグッズ販売の為に使用するなら問題ないでしょう。

因みに、著作権とは違い商標権は誰でも異議申立てが可能です(第43条の2)。判断が覆るかどうかは分かりませんが、異議申立てをされる可能性はあるでしょう。

少なくともネット上でモナーが使用できなくなるとは考えにくく多少は冷静になる必要があると思いますが、ネット上の共有財産を一企業の金儲けの手段に使うのには疑問があります。この問題がどう決着するか分かりませんが、個人的にはうやむやにはして欲しくないです。今後も似たような問題が起こる可能性は非常に高いですから、正しいガイドラインを示して欲しいものです。

しかし、ユーザーに対しては厳しいにも関わらず、何故自分たちにはこんなにも甘いのでしょうか。法律で過剰に守られていると順法精神やモラルが欠如するのでしょうか。以前のエントリーで私的録音録画補償金制度について書きましたが、未だ決着していません。公共の利益は考えず、自らの利益は徹底的に追求する卑しい業界にこれ以上の保護など必要ありません。
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【2005/09/14 23:14】 メディア | トラックバック(10) | コメント(1) |
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【2005/09/25 01:45】 URL | coco #wPygA5/2[ 編集]
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