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2017-04

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完全ウエーバー制は本当に機能しないのか?

メジャーリーグ視察を行ったプロ野球の作業部会が帰国し、26日の実行委員会で報告を行ったようです。ドラフトやフリーエージェントについては夏までに改革案を纏める方針を再確認したようですが、本当に結論を出すことができるのでしょうか?

何を報告したのかはよく分からないですが、帰国直後のスポーツ紙によると、

ドラフトの完全ウエーバーとFA権短縮に待った

各紙微妙にニュアンスが異なるのですが、完全ウエーバー制が機能していないという旨の発言をしたのは事実のようです。過去のエントリーにおいて、改革案として完全ウエーバー制を提案していますが、本当に完全ウエーバー制は機能しないのでしょうか?簡単に検証してみます。
機能するの意味するところは不明瞭ですが、完全ウエーバー制が戦力の均衡化に大きく寄与しているのかと言えば、メジャーリーグの場合、答えは「NO」となるでしょう。では、完全ウエーバー制を導入する意味がないかと言えば、その答えも「NO」です。

ドラフトは戦力補強の一部に過ぎないので、トレードやFAによる補強もあります。戦力補強におけるドラフトの意味合いが小さくなれば、当然戦力均衡化に寄与しているとは言えなくなります。事実、ヤンキースなどはFAで獲得した選手ばかりですから。では、FA制度を無くせば良いのかと言われれば、その答えも「NO」です。

FA制度と言えば特定の球団ばかりが選手を獲得するという弊害を指摘されますが、選手の囲い込みを防ぐという戦力均衡化にも寄与するものであると思います。選手の集中はFA制度が問題なのではなく、他にあります。

ドラフトやFA制度が機能している良い例と言えば、NFLでしょう。ヤンキースやブレーブスはここ何年も連続して地区優勝していますが、NFLではまず不可能です。NFLは現在ペイトリオッツがSuper Bowlを3連覇していますが、4連覇は無理だと思います(今まで4連覇したチームはない)。また、NFLではルーキー選手の活躍が結構目立ちますが、MLBの場合1年目からメジャーリーグで活躍する選手は稀です。

両者に何が違いがあるかと言えば、まず選手数の差があります。MLBの場合、傘下のマイナーリーグの選手を含めれば1チーム当たり何百人もの選手を抱えている一方、ロースター枠は25人です。一方、NFLの場合、マイナーリーグはありません(NFL Europeがマイナーリーグの役割を果たしていると言えるが)し、ロースター枠は45人(Inactiveを含めれば53人)です。勿論、NFL選手となる為には厳しい競争を勝ち抜かなければいけないのですが、MLBに比べればルーキー選手が活躍する素地が大きいと言えます。

僕の改革案で支配下選手数の上限は現行のままとしているのは、このような背景があるからです。但し、選手層の厚さという要素が絡むので、選手数の上限を増やしたからと言ってルーキー選手が活躍しなくなるとは言い切れないのですが。

選手数の差もありますが、一番の違いと言えば各チーム間の年俸格差の問題でしょう。MLBでは、ヤンキースとデビルレイズでは年俸総額で190億円(倍率で言えば7倍弱)もの差があります。この状況に歯止めをかける為に、年俸総額が一定額を超えた場合に贅沢税(luxury tax)を支払わなければいけないという制度がありますが、逆に言えば「金さえ払えばOK」なので、実効性に乏しく問題は全く解決していないと言えるでしょう。

一方、NFLにはサラリーキャップが存在します。2004年は8058万2000ドル(約85億円)に設定されています。この額は各チームの入場料収入と放映権料(NFLでは一括管理の対象になっています)の合計(Defined Gross Revenues; DGR)の64.75%をチーム数(32)で割ったものです。パーセンテージは労使協約によって決められていて、毎年少しずつ高くなります。サラリーキャップがあれば、ヤンキースやジャイアンツ(日本の方です)のように資金力にものを言わせてFA選手をかき集めることはできなくなります。

ではプロ野球にサラリーキャップ制度を導入すべきかと言われれば、その答えも「NO」です。NFLでサラリーキャップが機能しているのは、多額の放映権料とアメリカ国内における絶大な人気が背景にあります。サラリーキャップ制度は、以前に紹介したグリーンベイのような小都市でもチーム経営が可能になるというメリットもあるのですが、マーケットの拡大という点においては明らかにマイナスになります。

自分たちの収入に繋がらない(1/32になってしまう)のでは、営業に力が入らないのは当然でしょう。NFLもファンサービス等は熱心に行っていますが、以前のエントリーで触れたようにWorld Cupに参加すらしない等、人気に胡座をかいている面も見受けられます。

プロ野球の場合、NFLのような多額の放映権料は見込めないですし、MLBに対抗するという面からも、もっとマーケットを拡大する必要があると思います。しかし、同時に各球団の収入の均衡策もまた必要です。

僕の考えは、放映権料は一括管理し再配分しますが、サラリーキャップは導入しないと言うものです。セリーグとパリーグの収支の差は放映権料によるものが大きいですし、漸く交流試合が実現したもののセリーグの各球団が既得権益を確保すべく猛反対したなど、プロ野球改革の大きな障害になっています。

とは言え、似たような制度のJリーグ(J1)もチーム間格差が年間予算で約3倍、年俸総額で約2.5倍とだんだん差が大きくなっています。サッカーの場合、レアルマドリードのような金満チームを貧乏チームが倒すという楽しみもありますし、スター選手ばかり集めると戦術の徹底が図れなくて優勝できない(野球にもそういう要素はありますが)という側面もあります。本題から大きく離れますので、これ以上は触れませんが。

結局、完全ウエーバー制が機能しないのは、完全ウエーバー制の問題ではなく収入格差の問題があるからです。もし、ドラフトは自由競争、FA取得年数の短縮をしないのであれば、プロ野球改革どころかプロ野球改悪に繋がります

全てを一度に改革するのは困難であり、プライオリティをつけるのは理解できますが、木を見て森を見ずではまともな改革は期待できないと思います。制度が機能するかどうかは、他の制度とのバランスによるところが大きいのですから。やはり、コミッショナーが全体構想を示した上で各制度の細部を詰めていく必要があると思うのですが、まあ期待するだけ無駄ですね。


<参考記事>
ノーリーズンコミッショナーの球界再編 - その1 リーグ運営 -
ノーリーズンコミッショナーの球界再編 - その2 経営・契約 -
鉄人と共に歩む街
Real World Series実現の可能性は? - 野球の国際化を考える -
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【2005/04/28 08:24】 野球 | トラックバック(2) | コメント(0) |
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やっぱり巨人と言われないように
 巨人の清武代表がメジャーとの意見交換の結果、ドラフト制度改革について「新しいアイデアを出す時期に来ている」と話したようだ。
SEABLOGスポーツ【2005/04/29 23:23】
分かってないねぇ
 巨人の意見が通らない! 実行委員会が26日、東京・内幸町のコミッショナー事務局で行われ、巨人が示すドラフト改革案に否定的な雰囲気が流れた。ワーキングチーム(作業部会)の中心として大リーグ機構(MLB)、日本高野連などにヒアリングし調査を続けてきた巨人清
かまぼんの視点【2005/04/30 01:08】
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